こけし屋の歴史の1ページ
-その2-


こけし会について

カルヴァドスの会の始まるもっと前に、こけし会というのがありました。
いわばカルヴァドスの会の母体というべきものです。
色々な方面の先生方にそれぞれ専門のお話をうかがう会でした。
こけし屋のニ階がまだ畳じきであった頃、講師を囲んでの、
そうした集いは何とも言えない楽しいものでした。
けれどそれが、場所がなくなってしまったせいもあって、
100回迄続けたままとだえているのは、何としても残念な事です。
現在カルヴァドス会員の諸先生方には、
こけし会でお話をして下さった方が沢山いらっしゃいます。
私が同窓の先輩である関係から、田村秋子さんをお招きした時、
田村さんの紹介で山本安英さんをお願いした時、それから
金田一京助先生の[アイヌ文学の発見」というお話しの時など,
いづれもはいりきれない程の盛況でした。
けれど極めて専門のお話になると,五・六人しか人の集まらなかった事もありましたが、
それはまたそれで、講師との親近感が却って深まって,楽しいものでした。
いづれにしてもよい場所を探して西荻名物のこけし会を復活したいものです。


昭和29年12月10日 「カルヴァドス通信 第十七集-岩永蓮代投稿記事」より

高橋健二画[カルヴァドス酒」